高度専門職ビザの企業側のメリット
高度専門職ビザは、申請する本人だけでなく採用している企業側にとってもメリットになるものがたくさんあります。様々な優遇措置のなかで企業にとってのメリットや、外国人材にとってのメリット、知っておくべき点について詳しくご説明していきます。
企業にとっては高度専門職の在留資格を持っていることで、面接前から優秀な人材だとわかる点はメリットと言えるでしょう。ポイント数は、履歴書を見ればおおよその予測がつきますし、入国手続きが優先的に処理されることによって、入国までの時間が短縮されるというメリットもあります(通常よりかなり短縮される傾向にあります)。
また、在留資格に制限されず、職種を気にしないで多方面の業務に就くことが出来るので、社内異動も容易になります。例として、本人の適性がエンジニアより企画系の職種の方が高いと判断される場合には職種の垣根を超えて異動させることも可能となります。加えて、在留期限が通常の在留資格よりも長いので、長期に安定的に社内でのキャリプランを検討することも可能となります。
企業側が理解しておくべきポイントについて
ポイント制の重要な評価項目として年収が加算対象になっています。他の評価項目で頑張ってもポイントが70点に僅かに満たない場合などは、高度専門職の在留資格を取得できないため、雇用する前に企業側が提示した年収のままだと合計で70点に達しない場合に、外国人側から年収を上げてもらえないかという交渉が入ることもが出てきます。
永住資格取得の緩和要件
高度専門職の在留資格を有していて、ポイントが80点を超えている場合、1年以上継続して在留すれば永住権を申請することができます。つまり、永住権申請までの期間が最短で1年になります。永住資格が取りやすいことは、高度専門職を取得する大きな動機付けとなります。原則として、日本に10年間以上在留していなければ取得できない永住資格が、この優遇措置によって大幅に短縮することが出来ます。永住資格が取得出来れば、在留期間や日本での活動に制限がありません。企業としても、長く、活動制限もなく活躍してもらえうことは大きなメリットです。
ちなみに、70点から80点未満のポイントで永住申請する場合には、3年以上継続して在留すれば、永住資格許可申請を行うことができます。 どちらの基準でも、原則10年以上の条件から大幅に条件緩和されるため、高度専門職の要件を満たしていそうな外国人、または雇用主の企業は積極的に高度専門職の申請取得を検討することをお勧めします。
「高度専門職2号」と「永住権」の違い
高度専門職2号のは、在留資格「高度専門職1号」を持って一定期間(3年以上)在留した者に付与されます。在留期間は無期限です。在留期間が無期限となるので、実質的に永住資格と同じ意味を持つようになります。
但し、永住資格は就労が必須ではないのに対し、高度専門職の在留資格は、1号・2号ともに就労が必須です。仕事を引退した後も日本に住むことを望む場合には永住資格の取得が選択肢に入って来るでしょう。
親の帯同が可能
高度人材の親や、高度人材の配偶者の親を呼ぶことができるようになります。外国人の親については、そもそも在留資格がないため日本で同居するためにはかなりの老齢であるとか病気があるなどの要件があり今現在はほぼ無理に等いくらに難しいのですが、高度専門職の場合はハードルが下がります。異国での子育てにおいて、親などの協力を得られることは非常に重要なメリットです。また、海外では日本より家族のつながりを重要視する傾向にありますので、親が一緒に暮らせることにメリットを感じる人が多いのです。この点も外国人社員が取得する大きな動機付けとなっています。
【要件】
7歳未満の子(養子を含む)を育てる場合
妊娠中の配偶者または本人の介助等を行う場合
世帯年収が800万円以上あること
「高度専門職」外国人と同居すること
そのほかにも、外国人社員が魅力を感じる優遇措置には、以下のようなものがあります。
- 在留期間が5年
他の在留資格よりも在留期限が長く設定されています。在留期間が長いことで、外国人本人としては、日本での生活基盤築きやすくなりますし、長期に安定して就業してもらえる可能性が高まると言えます。
- 配偶者の就労が認められる
配偶者の就労が認められるので、共働きをすれば世帯年収がアップが期待出来ますし、企業側も人材の離職率低下につながる大きな要因となりえるでしょう。
- 入国・在留手続きの優先処理
入管の手続きは、時期によっては処理の時間が長くかかる傾向にあります。しかし、高度専門職の在留資格なら、優先的に処理されるため回答が早いことが特徴です。出入国在留管理庁のホームページにも「高度外国人材に対する入国・在留審査は,優先的に早期処理が行われます。 入国事前審査に係る申請については申請受理から10日以内を目途在留審査に係る申請については申請受理から5日以内を目途」 と記載があります。
高度専門職の在留資格を申請する流れ
高度専門職の在留資格を申請する場合の手続きの流れと、主な必要書類をご紹介します。
これから日本に入国する人の場合
在留資格認定証明書交付申請という手続きを、以下の流れでおこないます。
- 地方出入国在留管理局で、高度専門職の在留資格認定証明書交付申請をおこないます。ポイント計算表と、ポイントを立証する資料を提出し、高度外国人材の認定を申請します。なお、この申請は、入国予定の外国人を受入れる機関の職員などが行うことができます。
- 出入国在留管理庁における審査を経て、在留資格の許可が下りれば在留資格認定証明書が交付されます。
- 外国人本人が日本大使館で査証申請の際に在留資格認定証明書を提示、日本の空港等で上陸審査時に在留資格認定証明書と査証を使うと、迅速に査証発給、上陸審査手続が行われます。
- 高度人材として日本に入国し、在留する流れとなります。
企業としては、「もし高度専門職の在留資格が不許可だった場合はどうなるのか?」という点が気になるでしょう。高度人材として上陸条件不適合になってしまった場合でも、就労を目的とする他の在留資格の上陸条件に適合していれば、その在留資格の在留資格認定証明書が発行されます。
すでに日本に在留している人の場合
すでに在留していて、高度専門職の在留資格へ切り替えたい場合は、在留資格変更許可申請をおこないます。 こちらも、まずは地方出入国在留管理局に、ポイント計算表とポイントを立証する資料等を提出します。
その上で、
- 行おうとしている活動が、高度外国人材としての活動内容であるか
- ポイント計算の合計が70点以上であるか
- これまでの在留状況が良好であるか
といった点が審査され、在留資格変更許可が下ります。 この時点で不許可になってしまった場合でも、元々持っている在留資格の期限の更新手続きを行うことは可能です。 高度専門職1号から高度専門職2号へ在留資格を切り替える場合も、同じく在留資格変更許可申請を行うことになります。
高度専門職の在留期間を更新する場合
在留期間更新許可申請を行います。地方出入国在留管理局で、ポイント計算表とその立証資料を提出します。現時点での状況を踏まえてポイントを計算し直し、ポイントが70点以上かどうか、活動内容の適合性等が審査されます。審査の結果、在留期間更新の許可が下りれば、在留期間を更新することができます。 (高度専門職2号の場合は、在留期間の更新は不要です)
必要書類まとめ
以下の表では、手続きごとに必要な書類をまとめました。なお、申請者の代理人が書類を提出する場合は、その方の身分証明書が必要です。
まとめ
今回は、高度専門職ビザの採用する企業側から見たメリットについて解説しました。企業の採用担当者様は中長期的に優秀な外国人材の採用計画を検討するための指標としてこのポイント計算表を活用してみては如何でしょうか?採用する人材の数年後の年収予測をベースに高度専門職ビザへの切替可能性を外国人社員と毎年の面談等で共有していくことで外国人人材の離職率を低下させたり、長期的、安定的に人材育成に取り組める可能性が広がるかもしれません。
ご不明点等あれば当事務所にご相談頂ければ会社事情に合わせた外国人材採用戦略案等をご提案させて頂きますのでお気軽にお問合せください。
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