技術・人文知識・国際業務ビザの取得条件詳細を解説!

技術・人文知識・国際業務ビザ=専門知識を活かしたホワイトカラー

大学や専門学校を卒業した外国人が就職した場合に取得できるビザ(在留資格)で、営業やマーケティング、経理や貿易などの事務職、通訳や翻訳、デザイナー、SEなどのコンピュータ関連の仕事や、電機や機械系のエンジニアの仕事など該当します。基本的には、大学や大学院、専門学校を卒業した外国人が就職した場合に取得できるビザです。

「技術人文知識国際業務」のビザが認められるためのポイント

留学生を採用する場合でも、海外から招へいする場合でも基準は同じです。
まず、就労ビザは外国人が個人で勝手に申請できるものではなく、企業と契約を結んだ上(企業側書類が必須)で、出入国在留管理局に申請します。つまり、内定が出ていて、さらに雇用契約を結んだ上での申請となるということです。雇用会社側の書類も多数提出する必要があります。大企業の場合は規模や実績が証明しやすいため比較的審査が通りやすいと言われていますが、中小企業・零細企業にとっては、企業に関するかなりの書類を提出する必要がありますので、大きな負担となります。事業規模が小さければ小さいほどビザ取得の難易度は高くなるとお考え下さい。

カテゴリー1〜4分類について

企業側の所属機関がその規模などによってカテゴリー1~4に区分されて、区分に応じて提出書類が異なっています。カテゴリー1に該当する機関は、事業経営の安定性や継続性についてさほど問題にならないだろうということで提出書類もかなり少なくなっています。一方、カテゴリー4にが該当する会社や個人事務所等は、新規開業したような企業ですので、事業計画書などを含めて多くの資料を要求されています。当然、審査の面においても、カテゴリー3、4に該当する企業は、カテゴリー1、2に該当する会社等よりも、慎重かつ入念に行われることになります。カテゴリー1~4の区分は以下となります。


カテゴリー1
(ア) 日本の証券取引所に上場している企業
(イ) 保険業を営む相互会社
(ウ) 日本又は外国の国・地方公共団体
(エ) 独立行政法人
(オ) 特殊法人・認可法人
(カ) 日本の国・地方公共団体の公益法人
(キ) 法人税法別表第1に掲げる公共法人

カテゴリー2
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人

カテゴリー3
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー4
カテゴリー1~3に該当しない団体・個人

ビザ取得に必要な7つの条件 

取得のための条件は次の7つとなります。
①. 本人の経歴 (学歴と職歴)
②. 専攻科目と職務内容の関連性
③. 企業等からの内定・契約
④. 受入企業の財務状況及び過去の外国人雇用状況
⑤. 雇用の必要性・業務量
⑥. 日本人と同等以上の給与
⑦. 前科が無いこと

① 本人の経歴 (学歴と職歴)

本国の大学や日本の専門学校・大学を卒業(予定)の外国人を採用予定の企業側では採用前に経歴を事前に調査されると思います。なかでも学歴・職歴の事前調査は必須です。外国人の言うことを信じてビザ申請後に実は学歴や職歴の要件を満たしていなかったということは本当によくあります。まず卒業証明書や成績証明書でどんな内容を専攻したのかをしっかり確認します。これから就職する会社の仕事内容との関連性が審査されます。

では学歴がない人、例えば高卒の方は許可基準を満たすのは難しく、「3年以上または10年以上の実務経験」があることが条件になります。3年の実務経験でOKの職務内容と、10年の実務経験が必要な職務内容があります。
実務経験の証明は過去の会社からいろいろ書類をもらう必要がありますので、もし以前の勤め先に連絡ができない方は、実質実経験を証明できないことになりますので、実務経験で証明する方法がとれない=就労ビザの許可は取れないことになります。

② 専攻科目と職務内容の関連性

まず仕事内容は専門性のある職務内容であることが必要です。専門性のある仕事と言っても幅広いですが、例をあげると;

「技術」の職種としては、
• 情報工学の技術・知識を必要とするシステムエンジニア
• プログラマー
• 精密機械器具や土木・建設機械等の設計・開発
• 建築系エンジニア
• 航空工学の技術・知識を必要とする航空機の整備
• CAD・CAEのシステム解析
• 機械工学の知識を必要とする自動車技術開発
• 情報処理の知識を要するデータベース構築など
など技術系の職種全般となります。

「人文知識」の職種としては、
• 海外事業部で本国会社との貿易等に係る会計業務
• 外国航空会社との交渉・提携業務
• 輸出入動向調査や販売管理等のマーケティング支援業務
• 本国IT関連企業との業務取引におけるコンサルティング業務
• その他各種営業職、事務職など
等があげられます。

「国際業務」の職種としては、
• 語学を活かした空港旅客業務
• 外国船舶の用船・運航業務
• 輸入販売会社における本国との取引業務における通訳・翻訳業務
• 企画、広報
• 貿易業務
• その他デザイナー、服飾、室内装飾に係るデザイン・商品開発、語学教師など

従事していただく予定の職務内容は、大学等で体系的に学んだ専門的・技術的素養を活かした活動である必要があります。いわゆるホワイトカラーと呼ばれる専門的・技術的な活動が該当しますので、飲食店や小売店、旅館、コンビニエンスストア等での接客や工場、建設現場での現場作業など単純労働と呼ばれる業務に従事することはできません。
また、専門的・技術的な業務内容であっても、外国人の方が大学で専攻した専門的な技術や知識とはまったく関連のない業務では該当性なしとされてビザは取得できません。専攻した科目との関連性については実際の成績証明書を取り寄せて1つ1つ確認することをおすすめします。 この「関連性」ですが、専修学校については業務との関連性が厳格に審査されるため完全一致に近いものが要求されますが、大学については専攻科目と従事しようとする業務の関連性については、比較的緩やかに審査されます。

③ 企業等からの内定・契約

招へい予定の外国人は企業等の機関から内定をもらい、契約に基づいて日本で働くことになります。
「ビザが出る前に内定や契約をして大丈夫ですか?」という質問をよくいただきます。外国人雇用の場合、雇用契約書上に「停止条件」を記載しておくことが一般的に行われています。停止条件とは”日本国の有効な技人国ビザを取得して初めて本契約の効力が生じる”という趣旨の文言です。つまり有効な技人国ビザを取得できなかった外国人を雇用する必要性が生じないことから、受入企業にとってはリスク回避となります。

④ 受入企業の財務状況及び過去の外国人雇用状況

審査においては「外国人本人」及び「受入機関」の双方が対象です。つまり外国人本人の他に安定的・継続的に外国人材を受け入れる基盤が受入機関にあるかどうか、そして受入機関が過去に入管法違反がないかどうかなどが審査されます。企業の規模によっては申請する際には直近の決算書を提出しますが、新設会社や新規事業部での外国人雇用では必ず事業計画書を添付します。新規事業部や新設会社であっても、もちろん外国人雇用は可能です。

⑤ 雇用の必要性・業務量

外国人本人の大学での専攻と密接に関連した業務であっても、そもそもその会社でその仕事をさせる必要性がない場合や、十分な業務量が見込まれない場合は許可は出ません。

⑥ 日本人と同等の給与水準であること

同様の職務・同様の経歴の日本人社員と同等かそれ以上の給与額が必要です。国籍によって不当に外国人と日本人で給与に格差をつけることは禁じられているからです。
報酬額は一律に決められているわけではありません。あなたの会社の賃金体系を基に日本人と同等額以上である必要があり、もし自社に賃金体系がなかったり、従業員がいない場合、地域で同種の会社の賃金体系を参考にして日本人と同等以上であるか判断されます。

⑦ 前科がないこと

これは外国人が過去警察に捕まったことはないですか?ということです。不良外国人にはビザは出さないという出入国管理局の方針です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。数多くある就労ビザの一つである「技術・人文知識・国際業務ビザ」でも相当に複雑で理解するにも一苦労ですよね。そのため国際業務を専門にしている専門家の行政書士に相談するのも一つの解決策となります。当事務所でも無料相談を受け付けていますので気軽にご連絡ください。

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