帰化と永住ビザについて比較解説!

永住ビザと帰化について


こんにちは!この記事では帰化と永住ビザについて具体的にどう違うのかを比較しながら解説して行きます。どちらでも在留期間を心配しないで日本で生活できるようになりますが、それぞれ比較すると多くの異なる点があります。現在、皆様は様々な国籍、在留資格をお持ちだと思いますが、これから安心して日本で暮らしていくのにどちらを検討していくべきなのかじっくり検討してみて下さい。

許可前と許可後の主な項目比較

まず、全体を俯瞰して見てみましょう。全体的には永住資格の方が比較的厳しい条件が多くなっており、実際に永住資格の許可率はおおよそ50%前後で推移しており許可を取るにはしっかりとした準備が必要です。帰化も決して簡単に取れる許可ではありませんが、比較的には取り易いと言えます。但し、2重国籍を認めていませんので自身の母国の国籍を捨てる決断となりますのでその点も十分踏まえて検討するべきでしょう。

許可前・申請中の3つの重要条件を比較

それでは、上記比較表の許可前・申請中に求められる3つの条件について比較しながら解説して行きます。

居住条件

帰化申請は、原則、引き続き5年以上日本に在留していることが必要です。その期間中に就労ビザの在留資格を取得して3年以上日本に住んでいることが必要となります。一方、永住申請では、原則、引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。その期間中に就労ビザの在留資格をもって5年以上日本に住んでいることが必要となります。この点を原則ルールに基づいて比較する限り、帰化申請の方が優位のように感じます。ただ、帰化申請も永住申請も様々な条件緩和となる要件がありますので各人の置かれている状況、環境をしっかり分析して判断していくことが必要です。

年収(生計)条件

帰化申請の場合は、生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者や両親等の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることが証明出来れば、この条件を満たせます。

一方、永住申請の場合、年収の額が非常に重要な審査ポイントです。基本的には年収が300万円以上ないと審査が厳しくなります。年収が300万以上あっても、年収に比べて扶養人数が多すぎる場合は、年収が300万円あっても安心とは言えません。扶養人数1人あたり年収60万~80万をプラスして考えたほうがよいです。つまり扶養が1人いれば年収が360~380万必要だということです。

また、就労ビザから永住ビザに切り替えたい外国人は、過去3年分の年収額が審査されます。つまり300万×3年分ということになります。配偶者ビザから永住ビザに切り替えたい外国人は、過去1年分の年収が審査されます。

納税条件

帰化申請でも住民税と年金の支払いの状況がチェックされますが、支払いに遅れがある場合でも完納していれば許可されることがあります。

一方、永住申請の場合は、住民税と年金の支払いの状況が非常に厳しく審査されます。これらに未納があると絶対に永住は許可されません。住民税と年金を適正な時期に納めていることが必要です。未払いがある場合は論外ですが、支払い済みの場合でも納付期限に遅れがあれば永住申請で許可を得るのは難しいです。永住申請では期限を守って適正な納税をしていることが必須ですので特に注意して下さい。

許可取得後の9つの比較すべき相違点

ここまでは、許可を得るまでの永住ビザと帰化の違いを解説しましたが、ここからは許可取得後の相違点について解説します。

国籍

当たり前のことですが、永住ビザは本人の国籍が変わることはありません。一方、帰化の場合は国籍が日本になります。つまり日本人になるということです。永住ビザと帰化の最大の違いは国籍が変わるか変わらないのかという点です。


在留カード

永住ビザの場合は在留期間が無期限になりますが、7年に1度在留カードの更新をする必要があります。帰化の場合は、許可後に在留カードを入国管理局に返納する為、許可以降に在留カードを所持することはなくなります。


パスポート

永住ビザの場合は、引き続き自分の国籍のパスポートを使用できますが、帰化の場合は日本のパスポートに変わり帰化前のパスポートは使用できなくなります。


名前

永住ビザの場合は、許可後に氏名が変更になることはありませんが、帰化の場合は申請時に希望した氏名に変更になります。また、帰化前の氏名を使用したい場合でもアルファベット表記はできませんので、ほとんどの方は名前が変更になります。


戸籍

戸籍は日本国籍を保有している人だけに与えられる日本国の制度です。そのため永住ビザを取得しても戸籍が編製されることはありませんが、帰化をすると日本の戸籍が編製されます。日本の戸籍謄本はパスポートを取得する際に必ず必要になります。

再入国手続き


帰化の場合は、当然ですが日本人としての扱いとなりますので再入国は当然に可能となりますし、出国時に特別な手続きは不要となります。一方、永住ビザの場合はあくまで日本に在留出来る資格の一つであり、他の在留資格と同様に再入国手続きが必要となります。これを忘れてしまうとビザの取消要因となってしまいますのでご注意下さい。


日本の国家公務員

現在の日本では、国家公務員になることができるのは日本国籍を保有している人のみです。つまり外国人は、日本の警察官や自衛官などは受験自体出来ない仕組みとなっています。そのため永住ビザの場合は、日本の国家公務員になることはできませんが帰化をすると日本の国家公務員になることができます。


選挙権

少し細かいところにはなりますが、選挙権についても違いがあります。選挙権は日本国籍を保有している人にのみ与えられますので、永住ビザの場合選挙権はありませんが、帰化をすると選挙権が与えられて投票に行くことができます。

強制退去処分(ビザの取消)

永住ビザは取消になる場合もあります。どういった場合に永住が取消になるのでしょうか?永住が取消になる典型的な3つのケースをご紹介します。

1、みなし再入国許可制度を利用し出国し(正式な再入国許可を取らず)、1年を超えてしまった時
2、過去日本に入国する際に虚偽申請・偽造書類で申請し在留許可を受けたことが発覚した場合
3、麻薬・覚醒剤・売春などの罪を犯し一定の刑罰に処せられた場合

上記のような3つの理由が発生すると永住ビザが取り消される可能性がありますのでくれぐれもご注意ください。

まとめ 

今回は帰化と永住資格を比較してその違いについて解説しました。日本での在留期間が長く、将来的にも日本で生活していくことを望む場合は、どちらかの申請を検討していくことをお勧めします。どちらも法務省管轄ではありますが、帰化申請は法務局、永住資格は出入国管理局と審査部門は異なりますが、どちらの審査部門の審査基準は相当厳しいことを覚悟して臨みましょう。申請検討にあたり詳細事項を確認したいといったお悩みをお持ち方は是非、当事務所の初回無料の相談面談をお申し込み下さい。それぞれの事情を十分に配慮したご提案を一緒に検討させて頂きます。

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