外国人のスポーツ選手が取得するべき在留ビザについて
今回の記事では、外国人スポーツ選手が日本で活動するための在留ビザについて解説して行きます。日本で外国人の選手が活躍すると言ってもいろいろな形態が考えられます。代表的なのはプロ選手としてプロ契約を結んで活躍するケースです。それ以外にも実業団チームに所属するアマチュアスポーツ選手も多くのフィールドで活躍されています。一方でスポーツの種類によっては、選手以外のコーチや監督等の指導者も外国人が指揮を執る場合も多くあるでしょう。加えて、その選手達の家族についても一緒に日本に滞在するための手続きも必要となるでしょう。これらのケース別に申請するべきビザの種類が異なるためきちんと理解して手続きを進める必要があります。
プロ選手は興行ビザの取得が必要
上述のプロ選手として日本で活躍する場合は、興行ビザ2号を取得する必要があります。詳細を解説する前に、簡単に法改正で変更になった興行ビザ全体像について触れておきます。2023年8月1日施行で、興行ビザの仕組みが大きく変わりました。これまでの興行は大きく分けて、以下のように1〜4号までの基準に分かれていました。
- 1号 ライブレストラン、クラブ、キャバレーなど飲食を提供する場で1日50万以下の報酬で行われる興行、客席定員100人未満の小規模施設で営利法人が運営する施設での興行
- 2号 客席定員100人以上で飲食を提供しない施設で行う興行や、報酬が50万以上で15日以内の滞在のものなど、比較的規模が大きく短期の公演(コンサート、イベント、フェスなど)
- 3号 プロスポーツ、格闘技、サーカス、プロダンス競技、プロゲーム大会など、演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏以外の興行をするとき
- 4号 興行以外の芸能活動(レコーディング、撮影、プロモーションなど有償での興行以外の活動)を行うとき
それら4つの基準が今回の改正で3つの基準に変更され、プロスポーツ選手の対象ビザは3号から2号に変わりました。内容はこれまでと同じものです。
- 1号 イ これまでの1号で風俗営業の店を除く施設での興行
1号 ロ これまでの2号にあたる活動(区分けが以前の2号とは微妙に変わっていますが、そこは後述します。)
1号 ハ これまでの1号(風俗営業店を含む) - 2号 これまでの3号
- 3号 これまでの4号
スポーツ選手が興行ビザ2号を取得する要件としては、外国人本人の実績や活動内容による影響はありませんが、プロチームを持つ企業や団体と「プロ契約」を締結していること、また、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けて従事することが条件となります。また、在留期間には3年、1年、6ヶ月、3ヶ月、15日の5つの期間がありますが、これは日本に滞在する日数や所属するチームの規模などから入管がしっかりと審査をした上で滞在期間が決定されます。
アマチュア選手は特定活動ビザの取得が必要
特定活動とは「法務大臣が個々の外国人について活動を指定するビザ」と定義がされおり、もう一つのビザ「就労ビザ」を含めどの活動にも該当しない外国人が取得するために必要な在留資格となります。
日本のアマチュアスポーツの振興及び水準の向上のために日本の実業団チーム等に雇用され、アマチュアスポーツ選手としての活動や、企業の広告塔としての活動の対価として雇用会社から選手に報酬が支払われる場合は、在留資格「特定活動(告示6号)」に該当します。アマチュアチームの所属であってもプロ契約をしている外国人選手は在留資格「興行(基準2号)」となります。
「特定活動(告示6号)」の在留資格対象チームや選手は以下の通りです。
- ジャパンラグビートップリーグ
- 日本フットボールリーグ
- 社会人野球チーム 等
監督・コーチを日本に招致する場合は興行ビザ或いは技能ビザが必要
世界的に人気のあるバスケットやサッカー等の世界ではスポーツ選手以外にも指導者も日本に招致しています。そんな外国で多くの実績を持つ有名監督やコーチを日本国内に呼んで指導してもおうといった場合にも、ビザの取得が必要になります。このいった外国人の監督、コーチが取得するビザにはプロ選手と同様の「興行ビザ」または「技能ビザ」と呼ばれる在留資格が必要となります。
興行ビザ2号の場合
取得要件はプロスポーツ選手と一体不可分な関係であって、プロスポーツ選手を支え導く監督・コーチ・トレーナー等が該当します。他に、一体不可分な関係で分かり易いゴルフ選手の専属キャディー等も該当します。
技能ビザ(第8号のスポーツ指導者)の場合
アマチュアスポーツの指導者として、「技能」を申請する場合には、以下の要件を満たすことが求められます。
- 下記いずれかの実績があること
①指導をするスポーツについて、3年以上※の指導実務経験があること(もしくは法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事する者)
②スポーツ選手としてオリンピック大会,世界選手権大会その他国際的な競技会に出場した経験があること
※ 3年以上の実務経験には、外国の教育機関においてスポーツの指導に係る科目を専攻した期間及びプロスポーツ選手として報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含むことができます。
スポーツ選手の家族は家族滞在又は特定活動のビザが必要
プロスポーツ選手の配偶者と子は、在留資格「家族滞在」に該当します。プロスポーツ選手の被扶養者としての日常的な活動を行うことができますが、就労はできません。
一方、アマチュアスポーツ選手の配偶者と子は、在留資格「特定活動(告示7号)」に該当します。こちらも、アマチュアスポーツ選手の被扶養者としての日常的な活動を行うことができますが、就労はできません。
まとめ
いかがだったでしょう。選手、監督コーチ、その家族について、それぞれ要件が異なり複雑なのが現状です。また、申請する書類も多いので集めるにもかなりの負担がかかってしまいます。
選手の皆さんが本来の活動に集中して良い結果を出させるようビザの申請取得については専門家に相談するのも良い選択肢でしょう。当事務所でも外国人ビザの専門行政書士が各選手の状況、条件をしっかり確認して迅速にビザが取得出来ることをサポートします。お気軽に無料相談にお申し込み下さい。
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